夏の暑い夜、エアコンをつけて寝ているから安心…そう思っていませんか?
実は、私たちが気づかないうちに体の水分が失われる「隠れ脱水」が、睡眠の質を大きく下げている可能性があります。朝起きたときに感じる疲労感や頭の重さ、肌の乾燥は、夜間の水分不足が原因かもしれません。
しかし、ちょっとした工夫と正しい水分補給の知識があれば、夏の夜も快適に過ごし、翌朝すっきり目覚めることができます。
今回は、夏の夜の隠れ脱水を防ぎながら、質の高い睡眠を手に入れるための実践的な水分補給法をご紹介します。熱中症対策はもちろん、毎日の美容と健康のためにも、ぜひ最後までご覧ください。

夜間の脱⽔が睡眠に与える深刻な影響とは
睡眠中の脱水は体に大きな負担
睡眠中の脱水は、私たちが思っている以上に体に負担をかけています。
人は寝ている間に約300〜500mlの水分を失うといわれていますが、夏の暑い夜にはさらに多くの水分が奪われます。この水分不足が、睡眠の質を大きく低下させる原因となっているのです。
脱水状態になると、血液の粘度が高まり、心臓に負担がかかります。心拍数が上がることで、本来なら休息すべき時間に体が働き続け、深い眠りに入りにくくなります。また、体温調節機能も低下し、夜中に何度も目が覚める中途覚醒を引き起こすこともあります。
翌朝にも残る影響
こうした影響は、翌朝まで続きます。起床時の頭痛や倦怠感、集中力の低下は、夜間の水分不足が関係しています。さらに、肌の乾燥やくすみといった美容面でのトラブルも、睡眠中の脱水が要因の一つといわれています。
水分補給で睡眠の質は変わる
実際に、睡眠中の脱水を防ぐことで睡眠の質が改善したという研究報告も多数あります。正しい水分補給は、熱中症の予防だけでなく、翌日のパフォーマンスを高めるためにも欠かせない大切なポイントなのです。

就寝前の最適な⽔分補給タイミングと⽅法
就寝前の水分補給は、タイミングと量がとても重要です。適切に行えば夜間の脱水を防げますが、間違った方法では睡眠を妨げてしまうこともあります。ここでは、理想的なタイミングや飲み方のコツをご紹介します。
理想的なタイミングと量
最適なのは、就寝の30分〜1時間前に、コップ1杯(約200ml)の常温の水をゆっくり飲むことです。水分が体全体に行き渡るまでには約30分かかるため、このタイミングが理想とされています。逆に、寝る直前に大量の水を飲むと、夜中にトイレで目が覚めやすくなり、睡眠の質を下げてしまうので注意しましょう。
なぜ常温の水がよいのか
冷たい水は胃腸に負担をかけ、体温を下げすぎる可能性があります。そのため、就寝前には常温の水、もしくは少し温かい白湯を選ぶのがおすすめです。
飲み方の工夫
一気に飲むのではなく、5分程度かけてゆっくり飲むのが理想的です。これにより、体への負担を減らし、吸収もスムーズになります。
プラスの工夫
- 夕食時に水分をしっかりとる:就寝前の負担を減らす
- 枕元に水を用意:夜中に喉が渇いたら、口を潤す程度にとどめる
こうした習慣を取り入れることで、夜間の隠れ脱水を無理なく防ぎ、快適な睡眠につなげることができます。

夜間の⽔分補給で避けるべき飲み物と理由
就寝前に「何を飲むか」は、「何を飲まないか」と同じくらい大切です。特に注意したいのは、カフェインを含む飲み物とアルコールです。これらは水分補給どころか、かえって脱水を促進し、睡眠の質を大きく下げる要因となります。
カフェインを含む飲み物はNG
カフェインには強い利尿作用があり、せっかく摂取した水分を体外に排出してしまいます。また、覚醒作用によって深い眠りを妨げ、夜中に何度も目が覚める原因になることも。
注意すべき飲み物・食品
- コーヒーや緑茶
- エナジードリンク
- チョコレート(意外と盲点)
就寝6時間前からはカフェイン摂取を控えることをおすすめします。
アルコールも睡眠の質を下げる
「寝酒をすると眠りやすい」と思われがちですが、実際は逆効果です。アルコールは一時的に眠気を誘うものの、分解の過程で覚醒作用のある物質が生成され、夜中に目が覚めやすくなります。さらに、深い眠りの時間も短くなり、翌朝のだるさの原因にもなります。加えて、アルコールにも利尿作用があり、脱水を進めてしまう点にも注意が必要です。
就寝前におすすめの飲み物
では、どんな飲み物が良いのでしょうか。
- 常温の水や白湯:体にやさしく、胃腸への負担が少ない
- カフェインレスのハーブティー(カモミール、ルイボス):リラックス効果で快眠サポート
- 薄めたスポーツドリンク:発汗量が多い日には効果的。ただし、糖分の摂りすぎには注意
こうしたポイントを意識するだけで、夜間の隠れ脱水を防ぎ、睡眠の質を高めることができます。

寝室環境の温度‧湿度管理で脱⽔を予防する⽅法
適切な水分補給と同じくらい大切なのが、寝室の環境づくりです。
特に夏場は、室温と湿度を適切に保つことで、夜間の発汗を抑え、隠れ脱水のリスクを大きく減らすことができます。快眠を支える理想的な寝室環境は、室温25〜28度・湿度50〜60%とされています。
なぜ「温度」と「湿度」が重要なのか
室温が高すぎると、体は熱を逃そうとして大量の汗をかきます。その結果、水分とともにミネラルも失われ、脱水状態に陥りやすくなります。
一方で、室温が低すぎる場合も問題です。体が体温を維持しようとしてエネルギーを使い、疲れが抜けにくくなってしまいます。
また、湿度が低いと皮膚や呼吸から水分が蒸発しやすく、乾燥による不快感が増す原因に。逆に湿度が高すぎると、汗が蒸発しにくくなり、体に熱がこもって眠りを妨げることもあります。
エアコンと扇風機の上手な使い方
エアコンを一晩中つけっぱなしにする場合は、設定温度を26〜28度にし、風向きが体に直接当たらないように調整しましょう。
タイマーを使う場合は、就寝から3〜4時間後に切れるように設定し、明け方の気温上昇に備えて扇風機を併用すると安心です。
湿度の管理と自然な工夫
湿度管理には、加湿器や除湿器の活用が有効です。夏でも、エアコンの影響で空気が乾燥することがあるため、枕元に濡れタオルを置いたり、観葉植物を取り入れたりといった自然な加湿方法もおすすめです。
寝具選びも快眠の鍵
空気環境だけでなく、寝具も睡眠の質を左右します。
- 通気性の良い素材
- 吸湿性に優れた寝具
これらを選ぶことで、汗によるムレを防ぎ、睡眠中の快適さを保つことができます。
このように、寝室環境を整えることで、体への負担を減らし、快眠と水分バランスの維持につなげることができます。水分補給とあわせて、環境づくりの工夫も毎晩の眠りの質を高める大切な要素です。

実践!夏を健康的に乗り切る水分補給プラン
ここまでご紹介してきた内容をもとに、実際に日常生活の中で取り入れやすい、具体的な水分補給プランをご提案します。このプランを無理なく続けていくことで、夏の夜の隠れ脱水を効果的に防ぎ、ぐっすりと眠れる快適な夜を手に入れることができるかもしれません。
1日に必要な水分量を知ることから
まずは、1日にどれくらいの水分を摂るべきかを把握することが大切です。
成人の場合、1日に必要な水分量は約2.5リットルといわれていますが、夏場は発汗量が増えるため、さらに500ml〜1リットル程度の追加摂取が必要になります。
この水分を、次のように6回に分けてこまめに摂取するのが理想的です。
1日の水分補給スケジュール(目安)
タイミング | 水分量(目安) |
---|---|
起床時 | コップ1杯(約200ml) |
午前10時頃 | コップ1杯(約200ml) |
昼食時 | コップ1杯半(約300ml) |
午後3時頃 | コップ1杯(約200ml) |
夕食時 | コップ1杯半(約300ml) |
就寝1時間前 | コップ1杯(約200ml) |
さらに、運動や外出で汗を多くかいた日は、その分の水分も忘れずに追加補給することが大切です。
水分の「質」にもこだわりを
摂取する水分の「種類」も、体調や時間帯に合わせて選ぶことで、より効率的な補給が可能になります。
- 起床時:少量の塩を加えた白湯や、薄めたスポーツドリンクでミネラル補給を。
- 日中:基本は常温の水。麦茶もカフェインレスで利尿作用がなく、夏の飲み物として最適です。疲労を感じたときは、レモン水やカフェインレスのハーブティーで気分転換を。
- 夜間:就寝前は、リラックス効果のあるカモミールティーなどが快眠サポートに役立ちます。
続けるための工夫も忘れずに
この水分補給プランを無理なく続けるためには、環境づくりと習慣化がポイントです。
- 水筒やタンブラーを持ち歩くことで、外出先でも手軽に水分補給ができます。
- スマートフォンのアプリを活用して水分摂取量を記録すれば、自分の習慣が「見える化」され、改善ポイントにも気づけます。
無理をせず、自分のペースで取り組みながら、少しずつ水分補給を習慣にしていくことが、長く続けるコツです。

まとめ
夏の夜の「隠れ脱水」は、私たちの睡眠の質や翌日のパフォーマンス、そして美容と健康にまで大きな影響を与える重要な問題です。しかし、正しい知識と適切な対策をとることで、これらのリスクはしっかりと予防することができます。
抑えておきたい3つのポイント
- 就寝前の水分補給を適切なタイミングで行うこと
- カフェインやアルコールを控えること
- 寝室の温度・湿度を快適に保つこと
この3つを意識するだけで、夜間の脱水リスクを大幅に減らし、深く安定した睡眠をサポートできます。
習慣が未来の快眠をつくる
健康的な睡眠は、性別や年齢を問わず、美容と心身の健康に欠かせない要素です。今日からできる簡単な習慣を積み重ねることが、この夏を快適に過ごすための力になります。
ぜひ今回ご紹介した水分補給プランを参考に、あなたに合った快眠スタイルを見つけてください。毎日の小さな工夫が、質の高い眠りと翌日の元気をつくります。
※本記事は、厚生労働省などの公的資料や快眠に関する専門知識をもとに構成しています。体調に不安のある方は、医師にご相談ください。