天然素材の寝具といえば、綿やウール、シルクなどが思い浮かびますが、中でも夏に注目される天然素材が「麻(リネン・ラミー)」です。特に蒸し暑い日本の夏には、麻のもつ特性が寝具にぴったり。今回は、麻の特徴や種類、他素材との違い、麻素材の寝具に注目し、購入前に知っておきたいポイントをお伝えします。

1.天然素材「麻」の特徴とは?
麻とは、古くから衣類や寝具、日用品に使われてきた植物由来の天然繊維です。通気性・吸湿性・速乾性に優れ、シャリ感のある肌ざわりが特徴。湿気がこもりやすい日本の夏にとって理想的な素材といえるでしょう。
主な特徴は以下の通りです。
丈夫で長持ち:繊維が丈夫で、繰り返しの洗濯にも強い。
吸湿性・速乾性:汗を素早く吸い、すぐに乾くので、寝苦しい夜でもサラッと快適。
通気性:繊維の構造が空気を通しやすく、こもりがちな熱を逃してくれる。
清涼感のある肌ざわり:シャリ感が心地よく、汗ばむ季節も爽やかでぴったり。
天然の接触冷感:天然繊維の中で熱伝導が最も良く、ひんやり感がある。

2.麻の種類と特徴──「リネン」と「ラミー」の違い
「麻」とひとことで言っても、実は20種類近く存在します。そのうち寝具に使われる代表的な麻には、リネン(亜麻)とラミー(苧麻)の2種類があります。通気性や吸湿性、接触冷感といった基本的な特徴は共通していますが、それぞれに際立った特徴もあります。
リネンとラミーの違いに注目して一部をご紹介します。
・リネン(亜麻)の特徴
リネンは、柔らかさと扱いやすさが魅力の麻素材です。繊維に含まれるペクチンの働きにより、肌に触れてもチクチクしにくく、やさしい感触が得られます。また、洗濯に強く、繰り返し洗うほどに柔らかくなる特徴があります。
・ラミー(苧麻)の特徴
ラミーは、自然な光沢あります。熱伝導性が高いため、肌に触れた瞬間にひんやりとした冷感があります。また、ラミーは強度が高く、水に濡れてさらに強くなります。

3.他の天然素材との比較でわかる「麻」の魅力
麻には「夏にぴったり」な機能性がそろっています。綿やシルク、ウールといった天然素材、ポリエステルのような化学繊維と比べると、その特長がより際立ちます。
・吸湿性
麻は湿気をしっかり吸い取ってくれる素材で、綿の約1.5倍の吸湿力があります。ポリエステルと比べると、その差はさらに大きく、ポリエステルの約30倍ともいわれるほど。なお、麻は吸汗性にも優れており、綿の約4倍の吸水力があります。
・速乾性
麻は、吸った水分をすばやく発散させる性質があり、乾きやすい素材として知られています。ポリエステルにも速乾性はありますが蒸れやすいため、麻の「吸って、すぐ乾く」というバランスの良さは、暑い季節にとても重宝します。
・通気性
麻の繊維は空気をよく通す構造をしており、湿気や熱がこもりにくく、さらっとした使い心地を保ちます。通気性の高さは、ムレやすい寝具の素材として特に重視されるポイントです。
そして、肌に触れたときのひんやり感(接触冷感)も麻ならでは。これは、天然素材の中で最も熱伝導率が高いという麻の特性によるものです。肌に心地よい冷感が得られるのは、自然素材ならではの魅力です。

4.麻素材の注意点
麻には注意すべき点もあります。購入前に以下の点をチェックしておきましょう。
● シワができやすい
麻はシワになりやすい素材です。ナチュラルな風合いとして楽しめる一方で、きっちりと整った印象を好む方には気になるかもしれません。
なお、あえて初めから自然な凹凸を作り、肌との接触面を減らして、汗ばむ季節でもさらりと快適な肌ざわりに仕上げた商品もございます。
● 縮みやすく、洗濯に注意が必要
お湯に濡れると縮みやすい性質があるため、きちんと取り扱い表示を確認して洗濯をしましょう。

まとめ|快適な夏の眠りには、麻素材を味方につけよう
麻は、自然の力で暑さ・湿気をやわらげてくれる頼もしい天然素材です。特に寝苦しい夏には、吸湿性、通気性、速乾性、ひんやりとした肌ざわりといった特長が、快眠をしっかりサポートしてくれます。
「夏用の寝具を探している」「天然素材の心地よさを体感したい」
そんな方は、ぜひ麻素材を検討してみてください。
心地よい眠りとともに、暮らしにもさりげない自然の豊かさが広がるはずです。
参考サイト