毎日使う寝具は、肌に直接触れるものだからこそ、素材選びにはこだわりたいものです。なかでもコットン(綿)は定番の素材ですが、近年はその中でも「オーガニックコットン」が注目されています。肌ざわり自体は一般的なコットンと大きな差はありませんが、オーガニックコットンは栽培や加工の過程において環境への配慮がされており、人にも地球にもやさしい素材です。
今回は、そんなオーガニックコットンの特徴、世界と日本の認証、そして高品質な綿として知られる「スーピマコットン」との違いにも触れながら、寝具選びのヒントをお届けします。

自然の恵みから生まれたオーガニックコットンとは?
オーガニックコットンとは、農薬や化学肥料の使用を抑えて育てられた綿花を原料にしたコットンのことです。認証(GOTSやOCSなど)を取得することで、「オーガニック」と名乗ることができます。
最大の特徴は、人にも地球にもやさしいということ。有機農業だから、生産に携わる人の健康を守りつつ、土壌や水質への負荷も大きく軽減できます。また、従来のコットン栽培に比べてCO2排出量を削減できる可能性があるとされています。


国際的な認証基準について
オーガニックコットンと名乗るには、厳格な認証基準を満たす必要があります。代表的な国際認証には次の2つがあります。
■GOTS(Global Organic Textile Standard)
GOTS(オーガニックテキスタイル世界基準)は、世界的に信頼されているオーガニック繊維製品の統一認証です。原材料の栽培から、製造、流通、最終製品に至るまで、すべての工程において環境面・社会面に配慮した厳格な基準が設けられています。
また、GOTSにはオーガニック繊維の含有率に応じて、以下の2種類のラベルがあります。
- Organic:オーガニック繊維を95%以上含む製品
- Made with Organic:オーガニック繊維を70%以上含む製品
なお、GOTSで使用されるオーガニック原料は、IFOAM(国際有機農業運動連盟)が認める各国の国定基準で認証されたものに限られます。基準の内容は国によって細かな違いがありますが、一般的には約3年間、農薬や化学肥料を使用していない農地で栽培された作物が「オーガニック」として認められます。
以下は、GOTSの認証条件のほんの一部です。
認証条件の例:
- オーガニック以外の製品との混同や汚染を防ぐ管理
- 原料に遺伝子組み換え技術を使用しない
- 水やエネルギーの使用、廃棄物について環境目標を設置
- 労働者の権利や安全に配慮された労働環境
■OCS(Organic Content Standard)
OCS(オーガニック・コンテント・スタンダード)は、製品にどれだけのオーガニック原料が含まれているかを明確に示す国際認証です。GOTSのように製造工程全体の管理は求められませんが、原材料の由来を明確にすることに重点が置かれています。
OCSにもオーガニック原料の割合によって次の2種類の分類があります。
- OCS 100:オーガニック原料を95%以上含む製品(残りは異なる素材)
- OCS Blended:オーガニック原料を5%以上含む製品
OCSでも、原料はすでにオーガニック認証されたものが前提とされています。したがって、約3年間、農薬や化学肥料を使用していない農地で栽培された原料であることが間接的に求められます。
さらにOCSも、サプライチェーン全体でオーガニック原料が追跡できる仕組みが整っています。GOTSほど包括的ではないものの、「オーガニック原料が使われているかどうか」を重視したい方にとって、目安となる認証制度です。

日本国内の認証について
日本にも認証活動をしている団体があります。ここでは、その中から代表的なものをご紹介します。
■NOC(日本オーガニックコットン流通機構)
NOCは、オーガニックコットンの普及と純正な製品の提供を目的に活動する東京都認定のNPO法人です。1993年の設立以来「オーガニックコットンに一般のコットンを混ぜない」という方針を守り、栽培から製品までの流通管理を重視しています。
認証には2つの規準があります。以下は基準内容のほんの一部です。
NOCコットン規準
- 100%オーガニックコットンを使用(一般コットンとの混同禁止)
- 染色は草木染めなど、安全性が確認された天然染料のみ使用
NOCグリーン規準
- 天然由来繊維との混用は50%まで(オーガニックコットンと一般コットンの混同禁止)
- 染色は環境への負荷が少ない薬剤を使用
■有機JAS(農林水産省)
日本国内で「オーガニック」と表示する際に広く知られているのが有機JASです。ただし、有機JASは農産物、畜産物、加工食品などの「食品」を対象とした認証制度であり、コットンなどの繊維は農産物の副産物という扱いになります。繊維製品のオーガニック性の基準は、GOTSやOCSなどの国際認証を参考にするのが一般的です。

上質な綿素材「スーピマコットン」とは?
スーピマコットンは、アメリカで生産される最高級グレードの綿で、「Superior Pima(高級ピマ)」の略称です。もともとは南米ペルーで「ピマ種」の綿花を基に品種改良されたもので、現在はアメリカのカリフォルニアやアリゾナ、テキサスなど限られた地域でのみ栽培されています。この「スーピマ」という名称は、アメリカスーピマ協会の登録商標であり、認証を受けたコットンしか名乗ることができません。そのため品質は常に高く保たれており、世界中で生産される綿花の中でもスーピマコットンの占める割合はわずか1%未満。希少性の高さも、高級素材とされる大きな理由のひとつです。
最大の特徴は、繊維の長さが35mm以上の超長繊維綿であること。細くて長く、長さが均一なので、しっとりと柔らかい肌ざわりを持ち、「カシミヤに匹敵する」とも称されます。さらに、強度と耐久性にも優れているため、洗濯を重ねても風合いが長持ちし、美しい光沢を保ちます。高級な肌ざわりと永く使える品質を求める方に、選んでいただきたいコットン素材です。
なお、先にご紹介したオーガニックコットンが「環境や人への配慮を重視した綿」であるのに対し、スーピマコットンは「繊維の長さや品質を重視した高級綿」ですので、「オーガニックであるかどうか」とは別の基準で評価されています。どちらも魅力的な素材ですので、選ぶ際には目的やお好みに合わせていただければと思います。
当店では、スーピマコットンを使用したカバー類も取り扱っており、上質な眠りを求めるお客様にご好評をいただいております。


心地よい眠りは、素材選びから
毎日肌に触れる寝具だからこそ、素材にはこだわりたいもの。オーガニックコットンのように、どのように育てられたかが分かるものは、安心して選べて自分にも環境にもやさしい選択です。
一方で、スーピマコットンは、上質な肌ざわりや優れた耐久性を求める方にぴったり。肌がふれるたびに感じる心地よさが、日々の眠りを豊かにしてくれます。
価格や見た目だけでなく、「どんな素材が自分にとって快適か」を考えて選ぶことが、満足度の高い寝具選びの第一歩です。
自然素材のやさしさと確かな品質が、あなたの毎晩をもっと心地よく、もっと大切な時間にしてくれるはずです。
※掲載している内容は変更になる可能性がありますので、ご注意ください。
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