「サステナブルな暮らし」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?
買い物のときにマイバッグを持参したり、節水・節電に気を配ったり──そんな日々の小さな選択が、地球の未来を守る一歩となります。実は、私たちが毎晩使う「寝具」も、サステナブルな選び方ができるアイテムのひとつです。

そもそも、「サステナブル(Sustainable)」とは、日本語で「持続可能な」という意味。
地球環境や人の暮らし、社会的な仕組みを壊すことなく、未来の世代までその恩恵を保てるようにする考え方です。この「サステナブル」の考え方を国際的にわかりやすく目標化したものが、SDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)です。
SDGsは2015年に国連総会で採択された17の目標からなり、「つくる責任 つかう責任」「気候変動に具体的な対策を」といった項目が、まさに寝具選びとも深く関わっています。

本記事では、「サステナブル 寝具」や「エコ フレンドリー 寝具」に興味がある方に向けて、地球にも自分の体にもやさしい寝具の選び方を、具体的な素材の紹介とともにご案内します。

サステナブルな寝具とは?その基準と背景

サステナブルな寝具とは、製造から廃棄までのプロセスで環境負荷が少なく、自然と調和しながら長く使えるものを指します。SDGs(持続可能な開発目標)でも、「つくる責任 つかう責任」や「気候変動に具体的な対策を」が掲げられており、消費者として私たちが選ぶ寝具にも責任が問われる時代になっています。

サステナブルな寝具には、地球にも人にもやさしい「ものづくり」の工夫があります。主に次の4つが特徴です。

1. 天然素材やオーガニック素材を使用

天然素材(綿、麻、ウールなど)は生分解性があり、自然に還りやすく、環境への負荷が少ない素材です。
オーガニック素材は、農薬や化学肥料を使用を抑えて栽培されており、生産者の健康にも配慮されています。

2. リサイクル・再生可能な原料を活用

廃材を再利用した繊維や、再生可能な植物を原料とする素材は、廃棄物の削減と資源の節約に貢献します。

3. 製造過程で化学薬品を抑える

染色や加工時の薬品使用を減らすことで、排水や大気への影響を最小限に抑え、作る人・使う人の健康が守られます。

4. 長く使える品質設計

耐久性の高い寝具は長持ちし、使い捨てを防ぐことができます。ゴミの排出量を抑え、エネルギーや資源の節約になります。「お気に入りを長く使うこと」つまり「心地よく眠るための寝具」が「地球の未来を守る寝具」にもなるのです。

体に優しい天然素材の代表格「オーガニックコットン」

最もポピュラーで信頼性のあるエコ素材が、オーガニックコットンです。通常の綿花は、大量の農薬や化学肥料を使って栽培されることが多いのに対し、オーガニックコットンは3年以上農薬を使わない土壌で、有機栽培された綿花を使用しています。

オーガニックコットンは、一般的なコットンと比べて肌ざわりに大きな違いがあるわけではありません。コットン本来の良さはそのままで、環境のために農薬や化学肥料の使用を抑える想いが魅力です。

オーガニックコットン寝具のメリット:

  • 肌に触れるものだからこそ、より安心を感じられる素材
     化学薬品の残留リスクが低いため、敏感肌や赤ちゃんにも安心。
  • 吸湿性・通気性に優れた綿素材の良さはそのまま
     汗をしっかり吸い取り、ムレにくく快適な眠りをサポート。
  • 環境と生産者への配慮が行き届いた選択
     有機栽培は土壌や水質を守り、生産者の健康にもやさしい農法です。

オーガニックコットンの寝具は、綿の使い心地が好きな方にとって、「もっとやさしくて安心できる選択肢」ともいえるでしょう。

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リサイクルダウンやリヨセルなど、注目の新しいエコ素材

サステナブルな素材は、オーガニックコットンだけではありません。リサイクルダウン竹(バンブー)リヨセルなど、さまざまな新素材が登場しています。

注目のエコ素材とその特徴:

  • リサイクルダウン
     すでに使われた資源を回収・再利用することで、新たな原料の消費や廃棄物の増加を抑えることができます。
  • 竹繊維(バンブーレーヨン)
     短期間で再生できる植物由来の繊維で、生命力の強さから農薬や化学肥料を必要とせず、土壌汚染や森林破壊の抑制にもつながります。また、二酸化炭素を吸収するので、カーボンニュートラルな素材とも呼ばれています。
  • リヨセル
     ユーカリの木材を特殊な溶剤で溶かして作られる(溶剤紡糸法)再生繊維です。使用された溶剤は回収・再利用されるため、廃液を環境に放出せず、地球にもやさしいです。

羽毛布団は「リフォーム」で、さらにサステナブルに

サステナブルな寝具の選び方は、「素材」や「作り方」だけではありません。
すでに持っている寝具を長く大切に使うことも、立派なサステナブルアクションのひとつです。

なかでも注目されているのが、羽毛布団のリフォームです。

羽毛布団は中の羽毛を洗浄・新しく充填することで、ふっくらとしたボリュームと清潔さを取り戻すことができます。新品を買い替えるのではなく、今ある資源を再活用するという点で、環境負荷の少ない選択肢です。

また、思い入れのある布団を生まれ変わらせることで、モノを大切に使い続けることの価値も感じられるはず。
「買い替える前に、直して使う」という選択は、まさに今求められるサステナブルな暮らし方そのものです。

サステナブルな寝具は、心地よい未来への第一歩

心地よく眠れる寝具を選ぶことは、毎日を整えること。そしてその寝具が、自然と調和した素材や製法で作られていたら、それは自分にも地球にもやさしい選択になります。

次に寝具を選ぶときには、ほんの少し立ち止まって、素材や背景に込められたやさしさにも、ぜひ目を向けてみてください。

また、「長く使えるものを選ぶ」「お手入れやリフォームをして大切に使い続ける」、そんなひと工夫もまた、サステナブルな暮らしの一環です。

あなたの選択が、今日の快眠だけでなく、地球の明日も変えていくのです。

参考サイト

東京都クリーニング生活衛生同業組合「指定外繊維とは?リヨセル・テンセルについて」